三匹の犬の話Ⅱ
おはようございます、中阪です。
今日はベスお話をします
僕が小学校の頃のことです
僕の小学校は元町という所にあって
電車で二駅、それも当時
日本一あぶないと言われた
せま~いプラットフォームの
阪神春日野道駅から通ってました
一年生上がりたての頃は
緊張して通ってたんですけど
人間、慣れってすごいですよね
2週間もすれば
すっかり元の調子
マイペースな自分に戻りました
阪神電車では、特急が通過すると
すごい突風が吹くんです
みんなはそれを止むのを待ってから
階段を下りていくんですけど
僕はあえてその突風の中を
階段を駆け下りたりして
風を感じてスーパーマン!みたいな
通学路にも誘惑がいっぱい
ある所の壁には
板切れが立てかけてあって
それをそ~~~っと裏返すと
たまにヤモリがいるんです
それをあけるのはもう日課でした
夏には土の所に
セミが出てきた穴がたくさん開いてます
その中に指をつっこんでは
中にまだいないか確認します
たまに幼虫がまだいて
釣れるんです
アリの行列を見てると
時間はどんどん過ぎます
コイツはどこにいくんだろう
巣はどこにあって何を運んでるんだろう
確かめないと気がすまないので
どんどん脱線しちゃうんです
それで、弁当箱のことを忘れて
そこに置きざりにして
めっちゃ怒られたこともありました
そうこうして毎日
誘惑と戦いながらの通学だったんですが
校門のすぐ近くに
最大の難関があります
それが「ベス」です
ベスは茶色で
柴犬か雑種だったと思います
左目の下あたりに
泣きぼくろがある
おとなしい犬だったんです
学校にすぐ近所
一軒家の駐車場に
ベスの犬小屋がありました
「ベスーーーーー」というと
控えめにしっぽを振ってくれるんです
ベスは僕らのアイドルでした
こぞってベスの小屋の前にしゃがんでは
しゃべったり、あいさつをします
もう学校は目の前、
チャイムが鳴ると聞こえるので
「やべ!じゃあ、ベス行くね!ばいばい~~」と
走る子がうじゃうじゃ(笑)
学校でイヤなことがあったり
楽しいことがあったり
悩みごとだったり
そんな時はベスに話します
ベスはたぶん、かなりの小学生の
悩みや秘密を知っていたはずです
他の人が話してる時には
こっそりと順番待ちする子を
見かけましたよ
僕もよく話をしました
●「壁球がうまくできひんねん、
参加したいけどなかなか言えへんねん」
●「しょんべんちゃ」ってあだ名つけられてん
ひどいと思わへん?
●また居残りやってん、暗唱なんかきらいやわ!
そんなたわいないことなんですけどね
話すとすっきりするんです♪
ベスにはいい迷惑ですけど
それでもね、気持ちを分かってるような
反応するんですよ、ベスは
なんとなくですけどね、不思議と
そんな雰囲気があるんです
それは、ほかのお友達も
感じてたんじゃないかな
なにかで犬のマスコットをもらいました
茶色の犬だったんで
「ベスやー」と
目の下にマジックで点をつけました
これでもうこの子はベスです(笑)
それをランドセルにつけて
登校してました
でも、そのベスも
中学に上がったころに
亡くなってしまったんです
たくさんの子供たちの
悩みや秘密を持ったまま
天国にいきました
僕のカバンには紐がちぎれて
無くなっちゃうまで
ずっとベスのマスコットがいました
次はメリーの話をします
メリーは唯一、家で飼ってた犬なんです
それでは、今日も一日。
はりきっていきましょうーー!!!!
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