すっちゃんは言いました。
「中阪さん、怒ってない」
僕は言いました
「怒らないよ、すっちゃん」
おはようございます、中阪です
今日が最終日。
今、お店には
トライやるウィークで
中学生が2人
お手伝いに来てくれてます
そのうちの一人が
すっちゃんです
すっちゃんは少し障害があります
最初に先生と来た時
すっちゃんは僕の目を見ませんでした
目を合わせれなかったんです
でも、すっちゃんは
この３日間で変わりました。
初日、簡単な作業
タマネギの皮むきや
ネギの下処理
ピーマンの種とり
ひとつひとつ
試行錯誤しながらも
懸命に覚えていきます
それから、お店がはじまりました
お店のピークがくると
厨房はてんやわんや
洗い物はどんどん来るし
普通の人でも
ハッキリ言って対応は難しいです
それでも、すっちゃんは
がんばっていました
でも、不安とストレスからか
パニックになってしまいました。
これは、僕が彼女の様子を
ちゃんと見てやれてなかったのが
悪かった
サインはあったので
今度はそれを見逃さないようにしよう
そして、二日目
仕込みが終わって
疲れてる様子があったら
上で休憩するようにしました
お店のメニューを紹介する
POPを書いてもらいました
静かな環境だと
心が落ち着くのだと
分かりました
三日目、
同じように疲れたら
２階に上がるようにしました
それでね、お店がピークを迎え
少しあわただしくなってきた時
すっちゃんはおりてきて
厨房に入ってきました
少しの間、じっとしてたんですが
それから、自分から
洗い物をしてくれました
これにはほんと驚いた
自分から飛び込んでいったんです
今までトライやるウィークで来てた子で
いや、そんなことより
僕が最初に料理修行に行った時のことを
思い出しました
忙しくてね、周りがバタバタして
その流れに乗れないと思うと
足が地面にはりついて
動かなくなるの
そこから、一歩も動けない
僕自身それを経験してきたから
よくわかる
だから、中学生の子やバイトの子が
最初そんなだっても
それを責めたりはしない
でも、すっちゃんは
そこに飛び込んできた
自分で
「中阪さん、怒ってない」
まっすぐに目を見て
晴れた顔で
すっちゃんは言いました
怒らないよ、すっちゃん
怒るわけがない
よく、がんばってるね
今日が最終日だよ
今日も、がんばろうね
成功、失敗
それと
何もしない
あなたが選ぶのはどっちですか？
それでは、今日も一日。
はりきっていきましょうーー！！！！
